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【10.08.09】 福祉・保育労働者のつぶやき… レポート6

お母さんにもホッとできる場が必要です

 
 私の勤めている保育園で実施している一時保育事業には、毎月たくさんの保育要求が寄せられています。週に3日以内の非定型就労の保育で、一日6人の枠はほとんど埋まってしまいます。でも、わずかに空いている日があり、そこに月に3回まで利用できるリフレッシュ保育の子どもたちが来ています。
 リフレッシュ保育を利用する理由はさまざまですが、上の子の幼稚園・学校の用事や、お母さん自身が歯医者や産婦人科に通院したいということで、預けられる方が多いです。また、2人目・3人目を出産するので、病院に入院している間だけ、保育を希望される方も多いです。
 そして、本当に一時保育事業を必要にしているなと思う人たちがいます。それは、「ちょっと子どもとはなれて、息抜きをしたい」という人たちです。その気持ちは本当によくわかります。私自身も2人の子どもを育ててきましたが、私は仕事をすることで、息抜きができていたとおもいます。仕事をしないで、ずっと子どもといっしょにいたら、私もストレスがたまって、どうなっていたかな・・・と正直思います。 
 最近のお母さんの中でみられるのは、お母さん自身が子どものころ親から虐待を受けていた経験があり、今子育てする中でそのことがフラッシュバックしてきて、とてもつらい思いをしていたり、自分も親からされたように子どもに手が出てしまい、どう子育てしていいか悩んでいる・・・という実態です。そういうお母さんたちが、子どもを保育園に預けて、自分自身を見つめなおす時間を持ったり、心療内科に通って自分を取り戻す努力をしています。お母さんが迎えに来たときに、ほっとした笑顔で子どもを抱きしめている姿を見たとき、本当に一時保育をやっていてよかったなと思いました。
 まだまだ、一時保育事業を行っている園は多くありません。もっと増えて、ヨーロッパのように、預けたいと思ったときにすぐに預けれる状況があれば、子ども虐待も減るのではないかと思います。大阪の幼い姉弟が命を落とすことも防げたかも・・・と思えてなりません。

これからの一時保育は営利企業が担っていくのか?

 上記の保育園のように、待機児童対策の一環として、また、保育ニーズの掘り起こしの意味も含め、自治体の事業として一時保育を展開しているところが増えてきています。
 しかしその一方で、駅型保育所や「キッズルーム・ランド」といった名称で企業立の保育所も各地で作られています。理由は同じように「ちょっと息抜きがしたい」「認可された保育所に入れないから」というニーズに応えての開業でしょう。話題の「子ども・子育て新システム」でも保育分野への企業参入がいっそう進められようとしています。でも、それでいいのでしょうか?
 保育がビジネスになると、子ども達は「お客様」になり、「サービス」をうけることになります。いくつもの「オプションメニュー」から好きなものを選んで、それに応じた「料金」を支払う…。それじゃあ、お金のない人はどうするの?保育を受けられないの?企業保育には必ずそういった問題が付いて回ります。選択の基準が「子どものため」ではなく「懐具合」になり、保育を受けたくても、受けられない場合が出てきます。介護保険制度のように、(自己)負担が重くのしかかり、利用を控えることも起こるでしょう。
 本来保育は商品のように買って得る「サービス」ではありません。国の責任において行われる福祉であり、国民が受ける当然の権利です。
 子どもを育てるのは「親の責任」ですが、その責任を分け合い、バックアップする重大な責任が国・自治体にはあります。親の、国民の「自己責任」を問う前に、国として自らの責任も果たしてほしいです。

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