保育士として日々思うこと
2歳児クラスの子どもたち。3歳になったことやもうすぐ3歳になることがとてもうれしく誇らしげにしている姿があります。そんな子どもたちにとっては「3歳だから○○だもん」という言葉は、なんでも楽しくなったり、パワーの源になる魔法の言葉です。また、少し高いところから、両足でジャンプすることが楽しくなってきた子供たちは、ジャンプできる少し高いところへ登ると、きまってインタビューのようなマネッコあそびが始まります。
Kちゃん:「Kです!3さいです!!」 (はりきってしゃべる)
N(保育士):「好きなお友だちは誰ですか?」
Kちゃん:「Nちゃんです(保育士の名前)」
(にっこりとインタビューする保育士の私(N)に視線を合わせて答える)
Kちゃんは、きっといつも、常に自分の気持ち通りに接してくれるお友だちのYちゃんの名前(対等な友達関係という点では課題がある)言うだろう、毎日の行動から予想していました。しかし、予想外に出てきた名前は保育士である私(N)の名前。にっこりの笑顔からでてきた言葉で聞いた瞬間うれしさがこみ上げ、保育士として日々積み重ねてきた自分の関わりが、その子の心に近づけたと思える瞬間でした。
Kちゃんとは1歳児クラスでの1年間と、2歳児クラスへ持ち上がり半年間の関わりです。家庭環境や生まれもった困難さなどから、人との信頼した関係、安心できる関係を築いていくという点で難しさをもつKちゃんです。1年半の関わりの中で、保育士として関係づくりに悩んでいた部分もありました。そんな中、聞けたKちゃんの言葉と表情でした。1年半の間Kちゃんの様子をみながら、時間をかけて積み上げてきた関わりがあったからこその姿だと思います。
現在、非正規保育士の有期雇用が増えつづけています。しかし、人との関係づくりの土台を築いていく乳幼児期、継続的に安定した関係をもてる大人はとても重要だと思います。そして、保育士にとっても、子どもとの継続的な関わりの中からみえてくる子どもの姿があるし、子どもとの日々の生活の積み重ねからできる働きかけがあります。日々目の前にする子どもたちの姿から、大人が配慮し守っていくことだと強く思います。
「最低基準の定数内職員=正規職員」ではない
国は、最低基準で定められている定数上の保育士について、「1日6時間以上、月20日以上の常勤保育士」でよいとしており、最低基準上の保育士=正規職員となっていません。
また、98年に規制緩和がおこなわれ、
「次の条件の全てを満たす場合には、最低基準上の定数の一部に短時間勤務(一日六時間未満又は月二〇日未満勤務)の保母を充てても差し支えないものであること。
(一) 常勤の保母の総数が、最低基準上の定数の八割以上であること。
(二) 組やグループを編成している保育所にあっては、常勤の保母が各組や各グループに一名以上配置されていること。
(三) 常勤の保母に代えて短時間勤務の保母を充てる場合の勤務時間数が、常勤の保母を充てる場合の勤務時間数を上回ること。」(児発第85号通知)
と、一定の条件さえ満たせば、最低基準内の保育士を短時間保育士に置き換えていいことになっています。
相次ぐ、制度の見直しや補助金単価の削減により、最低基準内の保育士でも、1年契約などの有期雇用職員が増えています。
また、延長保育や一時保育、障害児保育などの特別保育は補助金額が低く、非正規職員しか雇用できません。そのため、非正規職員の比率が高くなっています。
介護施設や障害者施設では、介護保険制度や障害者自立支援法など、新しい制度に変わるときに、「4時間勤務のパート職員2人で常勤職員1人とカウントしてよい」とする「常勤換算方式」が導入されました。
これにより、介護施設や障害者施設では、非正規職員化が急速に進み、なかには、「施設長以外は全員が非正規職員」という職場もあります。
「有期雇用で将来展望がもてない」「低賃金で安定した生活ができない」などの理由から、働き続けることが困難になり、福祉職場での人手不足は深刻になっています。
福祉・保育の仕事は、人を相手にする仕事です。利用者との関係を築き、質の高い実践をつくるには、豊かな経験を積み重ねることが必要です。
私たち福祉保育労は、
・最低基準内の職員は正規職員化すること
・常勤換算方式をやめること
・実効ある福祉人材確保対策を行うこと
などを国や自治体に求めています。