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【07.05.21】保育をよくするネットワーク総会

オープニングはぞうれっしゃ合唱団

 
 オープニングはあいち合研で発表される「ぞう列車」の合唱で始まりました。合唱団員を募集中とのことです、歌声を聴いて私も一緒に歌いたいなと思った人、是非どうぞ!

則武保育園問題を振り返ってその後・・・

 
 総会ではまず、「保育ネット」の結成のきっかけになった「則武保育園廃園民営化」問題について3者から報告してもらいました。

 現けやきの木保育園の父母会長(元則武保育園の父母)の柴垣さんからは、民営化されて1ヶ月たった今、子どもたち・保護者たちの今の状況を話してくれました。則武の前を通り過ぎて登園する辛さ。最初は新園がものめずらしくウロウロキョロキョロしていた子どもたちが、その後自分の居場所が見つからないといった姿が見られるようになり、腹痛を訴える子が多数でたこと。則武の頃には見られなかった乱暴な姿があってショックだったこと、等々。民営化によって子どもも保護者も辛い思いを強いられているので心を開くのが難しいことや、則武以外の世帯も多い中父母会運営も難しさがあるといったことも話されました。そして、先生達も忙しくてどたばたはしているけれど、園長先生が一生懸命話を聞いてくれ、不満や問題点は早急に対応してくれるのがありがたいと話していました。柴垣さんの「子どもたちにも個人差はあるし、一概に全部民営化のせいとは言えないと思うが…」とこらえながら語る姿は、『民営化は本当に絶対に良くない』と誰の胸にも確信になりました。

 この実態は、名古屋市保育課の入る四者協という会議の中でも時間を延長して話し、いかに民営化が子どもの心を傷つけ、保護者にも不安を与えるか訴えたとのことです。
 
 けやきの木保育園園長平松さんからは、まず、この間の運動の中で、民営化反対の運動をしながら受託選定に手を挙げたことは間違っていなかったと確信できたこと、そして則武の子どもたちが安心して新しい園に通える様に引継ぎに力を入れることを、名古屋市に要求し実現させてきたことを話してくれました。しかし、今、「子どもたち・保護者たちの傷ついている姿をみると、どんなに良い引継ぎがやれても、民営化とは絶対よくないと改めて思いを強くした」と話されました。そして、父母と手をつなぎ、受託園として第2の則武を出さない様に頑張って生きたいと力強く語ってくれました。受け止めても受け止めても簡単には埋められない子どもたち・保護者達の辛さを、それでも何とかしたいと一生懸命な園の姿勢に、会場全体は、民営化を強行した名古屋市に対しての怒りでいっぱいになりました。
 
 最後に保育ネットの事務局武藤さんは、まず、「両者の話をきいて胸が詰まる、どんなに引き継ぎを良くしても民営化はしてはいけないこと」と述べてから、今までの「保育ネット」で新園つくりに協力体制をとってきたことや、第二の則武を出させない運動に取り組んできたこと等報告されました。また、運動の中で“民営化がなぜ良くないか”や“共闘の仕方”など学んだことが多かったとも話されました。最後に、これから3年間で保育士を含む500人の人員削減を行うという名古屋市に対して、保育所を守り、公私間格差是正制度のような保育の公的責任を守り発展させる運動の決意を語ってくれました。

杉山隆一氏の講演

 
 「民営化だけでは終わらない保育の市場化 ~社会福祉法人が解体される?!」と題して、大阪保育研究所の杉山隆一氏の記念講演がありました。
 講演の中の中味を要約して紹介します。

 まず、『民営化は国の構造改革の一環』であること、それは(1)保育の国や自治体の公的責任を後退させ、(2)民間に保育分野を開放し多様な市場にしていくためだ、ということが説明されました。
 具体的には直接契約の導入や保育料の自由設定、施設補助ではなく直接補助方式への転換、そのための「要保育度」設定とし、「福祉としての保育」を「共助原理」へ変えようということです。
しかしこの12月、全国保育団体連絡協議会の取り組んだ署名が衆参両議院で採択されたことによって、火種は残るものの、この改革の「規制改革・民間開放推進会議」の最終答申は先送りになるという成果がありました。
認定こども園での直接契約等の先行実践や、公立民営化のもう一方で、国は巧妙に社会福祉法人内部から企業と競争する経営づくりをさせ、保育制度を市場化できるものに改革しようと進めています。新法人の抑制と既設法人による事業拡大を進め、新会計基準により経営の自由度を高めています。こうして一法人一施設は淘汰され、法人は資本力を強化せざるをえず、民間会社の経営のようになっていっています。
このように制度解体を外と内から作らせ直接契約が実現すると、国や自治体の責任は無くなり「嫌ならそこの施設のサービスを買わなければいい」となります。しかしこれは、情報格差も生じるし、所得に応じて受ける保育にも格差が生じることになります。まさにアメリカはそうです。また、保育士の雇用も不安定になり「保育の質」の低下につながります。
 保育は「権利」か「商品」かといった対立に対して、私たちは契約制度の問題点を示しながら、「保育とはどうあるべきなのか」という運動を展開させていかなければなりません。政策提言と世論づくりが必要です。保育・子育てにかかわるネットワークが必要です。

 非常に中味が濃く、学ぶこといっぱいの講演でした。

今年もみんなで頑張ろう!

 
 最後に「保育ネット」代表の渡邉さんから、06活動報告と07予定が話され、民営化を許さず、公的保育制度を守り発展させるために、今年もみんなで運動をつくっていきましょうとまとめられました。

会場で訴えて集めたカンパは44,435円でした。

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