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【07.02.16】健康学習会の報告

豪華講師陣の10分リレー講義はまさに豪華でした!

 
 今回の学習会は6人の講師陣が10分間ずつリレー講義をしていくという仕組みとなっており、現場の声から専門的知識までさまざまなことを学ぶことができました。

講義の内容は…

黒田温子さん(ひまわり保育園 保育士)
 30歳後半に職業病になり、それを乗り越えて働き続けています。働き続けられたのは職場の仲間、組合の仲間がいたから。
 職業病になったのは「自分を見つめなおすいいおくりもの」でした。自分のからだをコントロールすることをおぼえました。 分会での職場改善(休憩や4週7休)にも力をいれてきました。仕事プラス自分の好きなことを見つけていくことが大切です。私の場合も、仕事とは違う人とのかかわりがもてたことがよかったと思います。

小野雄一郎先生(藤田衛生大学)「ストレス、メンタルヘルス-保育園の調査結果と対策-」
 一般的に、心理的要求度が高く、意思決定の裁量度・社会的支援の程度が低いという条件が存在するとストレスが高いと判定されるが、保育士の場合、06年度の調査では、心理的要求度の高さと社会的支援の低さが、うつ症状と関連していた。一方、意思決定の裁度は関連が見られなかった。また、うつなどのメンタルヘルス得点が全国標準値より低い(すなわち、悪い)人の割合が、全国並みであれば50%のはずであるのに、保育園の調査でははるかに多く、70%に達した。
 うつ病、うつ状態の人への対応には、してよいこととしてはいけないことがある。した方がよいこととして、「話し相手になること」「援助をおこなう気持ちを持っていることを伝えること」などがあげられた。また、ストレスの原因が、職場と関係している場合には、「話すことの可能な上司に相談すること」や「産業保健スタッフに相談すること」を勧める。現在の状況を見ると、小規模職場である保育園でも産業保健スタッフが必要になってきていると判断される。

島岡みどり先生(名古屋大学総合保健体育科学センター)「仕事と体力」
 体力は高ければ高いほど良いのでしょうか
 体力には二つのメリットがあります。1つは、作業強度・時間・作業量のアップであり、もう1つは、相対的作業強度、つまり、疲労度のダウン。
 作業管理がなされていなければ作業強度・時間・作業度がどんどん上がっていき、それは最後には疲労困憊し健康障害リスクはアップする。しかし、作業管理がされていれば相対的作業強度である疲労度も下がっていき、健康障害リスクはダウンします。
 作業管理がなされていないと、せっかくの体力も逆効果になる場合もあるので注意が必要です。そしてそれは誰が管理するのか、ということは非常に大きな問題です。

飯田忠行先生(藤田保健衛生大学)「骨密度からわかること」
 年齢が上がれば骨密度が減ります(閉経後は年に2%ずつ減少する)が、それだけではなく、ストレスでも減少します。(特に若い人がなる)
 骨粗鬆症にならないために、30~40代のうちに骨密度を高く保つことが必要となります。骨粗鬆症の危険因子は、体重低下、運動不足、日光照射・カルシウム摂取の不足、リン・塩分・蛋白・アルコール摂取の過剰、喫煙などが上げられます。骨粗鬆症予防は、食事では、カルシウム摂取(牛乳・小魚・小松菜・小魚の酢漬けなど)・ビタミンD摂取(干し椎茸・しゃけなど)イソフラボン摂取 (大豆製品・納豆など)を心がけること、そして瞬発力を使うスポーツ(バスケ・バレーなど)や一日一万歩歩くことなどが効果的です。

吉戸珱子さん(たんぽぽ保育園保育士)
 むかし公立保育園で保育士をしているときにメンタルの病気になりました。その後、こすもす保育園にボランティアに行き、そしてその後共同保育所に就職しました。
 当時共同保育所は、保育士の勤続年数は平均2年半といわれとても大変でした。夢はあるけど運営は大変、そして体をこわす…。「保育士はお母さんの延長じゃない、専門性のある、体力のいる仕事。」です。
 50代半ばでは今までありえないことが起きました。朝には強かった私が寝坊する、段差につまづくetc.です。これは自分への危険信号なんだと思いました。自分の危険信号を知ることが大切です。
 そしてやっぱり、今まで働いてこられたのは仲間がいたからです。

原田謙二さん(職場安全衛生委員会事務局)「職場の安全衛生活動」
 職場の仲間が「心の病」でたおれ、対策は今までの方法論でいいのかということを真剣に考え、話し合い始めました。一人ひとりの心に寄り添う役割は?健康観の共有・職場風土は?自己肯定感をもてる人間関係とは?等々です。
 職場生活におけるストレスなどの原因は「職場の人間関係」が35.1%でトップになっています。
 今、職場で行っている、メンタルヘルスの取り組みとは…
・ 新入職員への衛生教育
・ 中間管理職への学習会
・ 全職員対象の問診表によるチェック(メンタル・腰背痛・頸肩腕障害・VDT)
・ 職場の簡易ストレス診断
・ 職場巡視
というようなことです。
 また、自分の気づきを一歩前進できる糸口にするために…無料相談窓口Eメール相談・電話相談があるのでその活用を呼びかけています。

意見交流も中身濃く・・・

 また、その後の意見交流では、「かつては7:30~18:30という保育時間だったが、今は早朝・夜間に日祝保育が当たり前になり、それを支えるために臨職パートさんの人数も増えており、みんなでまとまった時間をとりにくいなど支えあう条件が難しくなっている・・・」といった意見から、各職場でのそういった悩みが出されました。
 小野先生から「以前より労働条件が厳しくなっていて大変な中で、みんなで仲良く全部を話をするのは無理、『課題の整理』が必要です。スケジューリングは大切です。管理者は一生懸命かえること。」といったことや、現場労働者からも「年代差もありなかなか話せない・・という悩みはあるけれど、『仕事のコアの部分(実践つまり保育なら保育、介護なら介護)』で話し合えるはず、職場を意義ある場にしようと自分達が雰囲気を作りたい」という意見が出ました。

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