給食の外部委託では「食育」は守れません
「給食の外部搬入が検討されている中、その動きに反対するために、構造改革特別区域推進本部の佐藤博樹氏に送ったメールから抜粋」
自分は保育園で働いていますが、自分の保育園にも給食室があります。子どもたちと一緒に料理を作ったり、食材を調理するところを間近で見たり、子どもたちにとって身近な存在になっています。
保育園で毎日を過ごしているといろいろな子どもたちに出会います。毎日の様子でいえば、お腹が痛かったり、気持ちが悪かったりというような体 調不良の子がいたり、家庭の事情で朝ご飯が食べてこれなかったり…。しかしそんな子どもたちの状況を把握して、ご飯のメニューだけを対応するのではなく、気持の面でもしっかりと話しを聞いて受け止めてくれます。
また、アレルギーをもった子や障害をもった子で食事の制限があった場合も、その子にあった食材を選んだり、その子が一つでも多くの食材を食べられるようになれるために父母・子ども・保育士・栄養士がよく話しながら、連携しながら子どもの育ちについて考えています。
日ごろから、保育士と子どもの姿について語り合いながら、子どもの気持ちや父母の気持ちをしっかりと受け止めてくれる…そんな給食室があるからこそ、自分が働いている保育園はみんなにとって安心してもらえる場であるのかなと思います。
「食育」という言葉が大事にされている今、保育園の子どもたちが「食」を通してさまざまな姿を見せてくれて、本当に大事なことなんだなと思います。大事にしないといけないからこそ、外部搬入という形ではなく、子どもの身近にある給食(自園で作る給食)ではないといけないのではないかなと思います。
鳩山総理が「命を守りたい」といっていたように、生きるうえでとても大切な「食」をこれからも大切に考えていただけたらと思います。よろしくお願いします。
このメールに対して佐藤博樹氏からこんな回答が寄せられました。
「誤解があるようです。
外部搬入を選択しない園は、以前のままでいいわけです。」
メールの中身を読んだ上での回答なら、「外部委託を選択されてしまった保育園に通う子どもの『食育』は守られなくても仕方がない」という意味なのでしょうか?
私たちが求めているのは、ただ目の前にいる子ども達だけではなく、すべての子ども達、さらにはこれから生まれてくる子ども達に対して、「食育」や安心して食べられる給食を。個々のアレルギーやその日の体調にも対応できる、現行の自園調理での給食を守ってください、ということです。
「食育」に国民的注目が集まる中、なぜ今になって「給食の外部委託」が検討されるのか?その裏側には相変わらずの「基礎構造改革」の考え方が潜んでいます。保育所設置の最低基準をどんどん切り崩し、「待機児解消」を名目に、企業などが簡単に「保育産業」に入り込めるようにするための一手です。そして、多くの企業参入と共に、その中で価格競争を行い、本来支出しなくてはならない国や自治体の保育所運営費を引き下げ、責任を無くしていきたいからです。
今、保育園への企業参入が進み、企業立の保育園では子どもの育ちや健康ではなく「コスト」を優先した運営がされている実態もあります。国や自治体から出ている潤沢とは言い難い運営費から、企業として利益を得ようとした場合、影響を受けるのは、子どもとそこで働く保育者です。
こんな横暴は許せません!
私たち、全国福祉保育労働組合も、この動きに反対するために直接、厚生労働省に働きかけていきます。3月1日に交渉の場を持って、現場の実態をしっかりと訴えていきます!